なんで読もうと思いましたか?
これからの住宅・建築MAPsに紹介されていて,
デザインが好みだったこと,「これからの住宅・建築MAPs」さんがおすすめするのなら良い本だろうと興味を持ったことがきっかけです.
また,国交省の省エネ基準の見直しの会議の中で
以下の話題が出ていて,断熱の効能についてわかりやすい本はないかなと興味を持ちました.
暖冷房にかかる一次エネルギー消費量の削減率だけを前面に押し出すのはよくない,HEAT20では数十頁にかけて断熱の効能,設計の注意点,問題点を説明している.より高い性能を国民に示すのであれば,より丁寧な説明が必要である.一側面だけ取り出されてしまうと質の高い住宅にはならない(意訳)
— あきひと (@ak1hito3) 2021年11月4日
どんな本ですか?
基本的な温熱環境に対する知識を体系的に教えるとともに,
温熱環境の向上が日常のどのようなシーンで役立つかというのを
具体的なシーンとともに教えてくれるというのが特徴の本です.
温熱リスクベースの話だけでなく温熱メリットにもしっかり触れているのが良いところだと思いました.
見開きで1テーマを扱っていて右側に概要,左側に独自の調査結果やデータを示しているためとっつきやすい内容になっています.
(画像はhttps://korekara-maps.jp/1050/ より引用)
あとは独自の調査結果があまり見たことないデータで面白いです.(鵜呑みにはできませんが)
例えば「温熱について調べた量と家の満足度の関係」や「寒いと使いたくない部屋ランキング」など目の付け所が面白いです.
いつ読むべきですか?
温熱の勉強の第一歩として読んでいいのかなと思います.
げげさんの「後悔しない家づくりのすべて」→「あたたかい暮らしのヒミツ」
という流れが普段本を読まない人でも突っつきやすいのかなと思います.
一番印象に残った内容はなにですか?
6~7Pの「あたたか体系」という図が今まで見た中で一番わかりやすかったです.
ピラミッド型になっていて,温熱環境6要素(温度,湿度,気流速,表面温度,着衣量,代謝量)を実現するためには
住宅性能6要素(断熱,気密,換気,日射(取得/遮蔽),通風,温度湿度調整)に気を配る必要があり具体的には主要6部材(断熱材,気密材,開口部,換気設備,庇(ブラインド),空調) を選定する必要があるという図はみたことなかったです.
一つ一つの要素はいろんな本に書いてあったのですが,体系を理解していなかったなと感じました.
さらに良いと思ったところはピラミッドの頂点が「あたたかい暮らし」なのですが,園三要素が体,心,懐(お金)なんですよね!
理屈じゃなくて感情にも寄り添っている感じがして良かったです.
どんな人にお勧めしますか?
・エピソードもエビデンスもバランスよく記載してほしい人
・「ヒートショックや一次エネルギー消費量削減のために断熱を!」って売り文句に納得できていない人
・あまり本を読むのが得意でない方
再読しますか?
少し悩みます.松尾さんの「エコハウス超入門」のように手元に置いておく必要がある!とまでは言えませんが,夫婦間で温熱意識を高める/揃えるには最適な本だと思います.